兵庫県南部地震や東北地方太平洋沖地震等の大規模地震では、河川堤防は沈下や法面崩壊等の被害を受けました。河川堤防は洪水時の氾濫を防ぐことを目的とした防災構造物ですが、基本的に土で出来ているため均一性を欠き脆弱です。そこで、地震に対する堤防の補強構造として、堤体に鋼矢板やカゴ枠を設置する複合構造に着目し、鋼矢板等による既設河川堤防の耐震補強法について振動台実験および数値解析の両面から検討しています。
21世紀に入って10年が経過し、国土計画も新しいものへと変わった。現在の新幹線網計画は高度経済成長期の1970年に制定されたままであり、現在も財源の目処がつくたび、その都度着工されている。当研究室では、新時代の路線網計画を立案すべく、遺伝的アルゴリズムを使った費用対効果の分析などを行い、幹線鉄道整備政策の今日的課題について検討している。
海岸研究室では、様々な研究を行っていますが、その一つとして、風波波面上の気流の可視化実験を行っています。海洋においては風によって波が立ちますが、どの程度の風がどの程度の波を発達させるかなど、分からないことも数多く残されています。高波や高潮などの防災や最近では洋上風力発電などに対して、海面上の気流の特性を把握することは重要なテーマとなっています。
環境エネルギーについては、バイオマスの有効利用という観点から、水溶液や土壌を用いた微生物燃料電池の発電特性や発電に影響を与える因子について、微生物学的、電気化学的な研究を行っている。また、リスク工学については、福島第一原発事故由来の放射性物質に関して、食物や土壌による内部被曝、および外部被曝をそれぞれ加算し、合理的な除染やリスク管理の選定手法を提示している。さらに、最近問題となっている古いガソリンタンクから漏洩するベンゼンなどを対象に、土壌カラム実験を行って、数式モデルを用いて濃度予測し、リスク管理を提案している。
木材・木質材料は森林においてCO2を吸収しつつ再生産可能な資源であり、軽量かつ十分な強度性能を持つ材料です。これまでも住宅建築分野では優位的に使用されてきましたが、持続可能な循環型社会実現に寄与する構造部材としてさらなる大規模な建築、建設構造物においての活用が期待されています。構造面における十分な性能と安全性を評価・検証することを目的に、木質材料の材質特性の評価やそれを活かした接合部の開発とその耐力評価、また木質系構造物の変形と強度性能に関するモデル解析など、 Timber Engineeringと呼ばれる工学的手法に基づいて、環境に負荷をかけない木質構造の提案に向けた研究をおこなっています。