まもなく(…といっても,まだ半年くらいあるが)北陸新幹線の金沢ー敦賀間が開業する.
敦賀駅の西の端はこうなっている.奥に続く高架橋は敦賀駅に併設される車両基地への入出庫線.手前の高架橋は途切れており,「ここにつながる北陸新幹線(大阪方面)」である.
左端の巨大なコンクリートの塊から最初の塔まで1km.地下鉄1駅分.
次の塔までさらに2km,地下鉄2駅分.向こう岸までさらに1km,地下鉄1駅分.
でけぇ〜
一見,瀬戸大橋と同じく橋の下側の網カゴみたいな中を電車が走れそうである.
…が,しかし.斜めに部材が取り付けられているので,単線の路面電車線路程度なら通せるかもしれないが,複線の新幹線は無理.友ヶ島水道か明石海峡にトンネルでも通すしかなさそう.
とにかくデケェ.中途半端な高さだと恐怖を感じるが,もはや山の上から景色を見ているに近い.
よく見ると,主塔の下のケーソンの右側に,速い潮流がカルマン渦を作っているのが見える.
¥5,000払うつもりがあるのなら,登れます.
道内と本州を海底で結ぶ第2青函トンネルの建設を目指す調査会を近く設立する方向で調整に入った
情報源: 第2青函トンネル建設へ調査会設立 自民道連が調整:北海道新聞 どうしん電子版
金払ってないので,冒頭部分しか読めないが,そういうことらしい.
御存知の通り,青函トンネルは在来線の貨物列車と新幹線が共用しており,新幹線の風圧で貨物列車が転倒したりしないように新幹線の速度が160km/hに抑えられている.
トンネルそのものは,フル規格サイズで建設されているので,連続勾配の上り下りができる車両ならば260km/h以上で運転できる(はず).もったいないもったいない.
これに加えて,青函トンネルは全通から35年を経ており,掘削開始の1964年からだとすでに初期にできた部分は60年近く経過している.建設を意思決定するまでに10年,新トンネルの工事に15年とすると,新トンネル完成時には現トンネルの一部は80年以上経過した老朽構造物になっている.
今のところは安全性は担保されているが,異常を検知して議論を始めていては遅いかもしれないので,荒唐無稽な議論開始ではない.
さて,新トンネルについては議論はこれからだが,道路トンネルと単線の在来貨物専用線を1つのトンネルとする案を見たことがあるが,私なら別案を考える.
道路併用とするかはともかく,新トンネルの線路は絶対に標準軌と狭軌の併用にすべきである.
現トンネルはいずれ大規模改修が必要になるが,列車を止めるわけにはゆかない.そうすると,改修工事中の一時的な列車の迂回経路が必要になる.新トンネルを標準軌と狭軌の併用にしておけば,その役目を果たせる.普段は,貨物列車と新幹線は別トンネルに分けて運用すればよい.
あるいは,新トンネルを新幹線利用主体とすれば,新幹線は電車なので,貨物列車に比べると勾配を登りやすく,新トンネルの長さを短くできる可能性がある.(海底部分の長さは勾配の緩急に関わらず同じなので,建設費はあまり変わらないという話もあるが)
いずれにせよ,新トンネル建設時には,老朽化した旧トンネルをどうするかという視点を同時に保つ必要がある.…が,政治家の先生方はそこまでわかってるのかなぁ.
#もっとも,現トンネルの新幹線の速度である160km/hは,確か当初の新幹線電車の青函トンネルにおける設計速度ではなかったかと思う.昔の新幹線電車の性能では,連続の勾配を200km/h超で運転できなかったんじゃないかと思う.(工事記録みたいな本に書いてあったような気が…)
導入例のない新幹線、「スーパー特急方式」とは
情報源: 導入例のない新幹線、「スーパー特急方式」とは – 鉄道コム
………………… いや,あるんだけど.(別名:青函トンネル方式)
(しかも,過去形で書いてるけど,今も検討メニューに存在するけど…)
政府の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」が発表された.
「真水」が55.7兆円,事業規模が78.9兆円…なのに,なぜか期待される効果が5.6%.
55.7兆円というと,日本のGDPが536兆円ほどなので「真水」はGDP比10.4%,事業規模ならGDP比14.7%にもなる.ところが,なぜか期待される効果が5.6%.
昨今は公共事業の経済効果の乗数効果が低いなどと言われているが,さすがに突っ込んだ金額に効果が達しないという例は少ない.
ところが,鳴り物入りのはずの経済対策の効果が,なぜか5.6%.
対策メニューが間違っているか,自称「真水」が実は泥水だったかのどちらかだよね.
(ちゅうか,5.6%を自ら公表した時点で,対策は失敗が予め判ってますと言っているようなものじゃないの.)
書類の上だけで世界恐慌対応レベルの対策に見せかけても,実物は操れないよね.
やはり財務省は現状把握能力が無いようである.
道路や橋、鉄道など老朽化したインフラを刷新するほか、高速通信網を整備する
情報源: 米インフラ投資法成立、バイデン氏「21世紀競争に勝利」: 日本経済新聞
ただし,米国の模様.
5年間で5500億ドル(≒63兆円)を支出し、既存の予算を含めて計1兆ドル(≒115兆円)規模を投じるとな.
内訳は,道路や橋の改修に1100億ドル(≒12.7兆円)、バスなど公共交通機関の刷新に390億ドル(≒4.5兆円),高速通信網や電力網の整備に各650億ドル(≒7.5兆円),電気自動車(EV)の充電設備に75億ドル(≒0.9兆円).
この話自体はトランプ政権時代から検討されていた模様で,政権が変わっても引き継がれたようだ.つまり,誰が政権をとっても必要な政策であるとの認識だということ.このままでは経済ヤバいという認識だ.
経済ヤバいというと,1930年代の世界恐慌があったが,この後にはニューディール政策が行われており,金融政策のほか,景気回復や雇用確保政策として公共事業も大規模に行われたことはよく知られている.1940年の米国GDPが1000億ドルあまりであるのに対し,同年のニューディール策への投資は90億ドルほどであり,GDPの9%程度が投じられたわけだ.
当サイトのこのリストは米国ニューディール政策のリストを参考に作成されている.GDPの9%というと,日本なら50兆円ほどだ(年額,真水,これを10年くらい継続).
さぁ,財務省には現状認識能力はあるだろうか.30年間緊縮政策をやってきて,確たる成果が出なかったわけだが,まともな分析能力があれば基本中の基本政策が間違っていたという結論に達するだろうと思う(…が,彼らの能力はそれに達しているだろうか).
要するに,30年もやってダメなら,アホでも気づくはず,という話.
コロナで経済が死にかかってるぞ.小さな政府の代表だと思っている現代の米国ですらインフラ投資するご時世だぞ.
予備費余らしてんじゃぁねぇよ.何してんだよ.
(鉄道関係ないけど)インフラに金をかけないと「こうなる」例が再び発生.
「目視」点検はしていたようだが,人間はゆっくりとした変化に気づきにくいもの.
7連の橋の内のちょうど真ん中が落ちたみたいなので,ここかな.
他の6連には付いていない装置付き(バルブ?).サビが漏れているので,ここが怪しそう.ストリートビューの履歴を見てみると,それまで異常がなかったものが,2019年頃の写真からサビが付着している模様.
いちおう,上の円弧のアーチで下の水道管を吊る形になっているが,上の円弧が変形すると,水道管には伸びる方向(抜ける方向)の力がかかって簡単に崩落しそう.(詳しくはその方面の専門の人が分析すると思うが.)
あと,円弧のアーチの上部がトリさんの休憩場になっているようなので,糞の影響もあるかも.鳥の糞は塗装を腐食させるほどの強酸らしく,15年前のミネアポリスでの高速道路の落橋の原因としても疑われてたっけ.
鉄道の話に無理やり持ってゆくと,とかく新幹線に目が行きがちだが,在来線の橋やトンネルは常にこういうリスクと隣り合わせ.
(追記)アーチから水道管を吊っていた鋼材が以前から破断していたという話がある模様.たしかに去年末時点ですでに破断してるね(↓).(バルブ付きの橋を拡大)
こういうことかな? (…でも,崩落時には中央のバルブ付近は折れ曲がらずにその両側2箇所で折れてるようにも見える.やっぱり中央部でくの字みたい.)
吊っている鋼材破断→水道本管に下向きの力かかる→中央のバルブ付近での変形が大きくて亀裂から水漏れ→バルブ付近のサビ→本管耐えきれず破断→崩落
インフラに金をかけないとアカンという例がまた一つ追加されました.
吊り鋼材の破断に気が付かなくても,バルブ付近のサビには気がつけた可能性あり.点検すら金かけてなかったんだろうなぁ.
震災から9年を経て,ようやく常磐線が全線復旧した.
阪神淡路大震災の復旧の際,JRや阪神,阪急の路線が少しずつ復旧して営業を順次再開していったことが沿線を勇気付けたことが思い出される.
坂元駅移設前の空き地(2013年11月)
まだまだ完全復興には時間がかかりそうだが,着実に進んでいる(と信じたい).