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自動車から「エンジン」が消える!?

 ドイツの有力週刊誌「デア・シュピーゲル(DerSpiege)」が報じたところによると、ドイツ連邦参議院(Bundesrat)が、2030年以降にガソリンやディーゼル機関など内燃機関を使用した自動車を禁止する決議を採択した。同じくこのニュースについて報道した米フォーブス誌によれば、決議採択はただちに法的効果を有するわけではないが、ドイツの規定がEU全体の規定になる場合が多いため、今回の採択が今後、欧州の環境対策の大きなターニングポイントになる可能性が高いという。

情報源: 自動車から「エンジン」が消える!? ドイツで2030年以降の搭載禁止決議が採択(1/3ページ):nikkei BPnet 〈日経BPネット〉

10年前に半分冗談で書いたこの話が,ついに現実になりつつあるのか?

パリ協定の日本の削減提案は-26%らしいが,この程度の削減で温暖化が止まるんだろうか.

日本では相変わらず「運輸部門は自動車の燃費向上で」とかなんとか考えてそうだが.自動車社会が醸し出す低いエネルギー効率は自動車の燃費向上だけでは如何ともしがたい.

******************************約10年前の当サイトの記事******************************

★06/11/24号:
チームマイナス6%(ほんとは50%や80%削減だと言われたら・・・編)

先日、沖縄で研究発表をした際、webmasterの1つ手前の発表が交通や都市分野の研究者ではなくて、エネルギー分野の研究者の発表であった。そのプレゼンテーションの中に、やはり欧州では50%あるいはそれ以上のCO2削減が検討されている旨の内容が含まれていた。マイナス6%などという生ぬるい設定では、会議の面目が保てても、温暖化が止まる保証はないのかもしれない。

さて、運輸部門でこの面目を保つには、22%の排出削減が必要であり、結構たくさん自家用車の削減をしなければならないという丼勘定は先日お見せした。もし、22%じゃなくて、上のような50%が必要であるといわれたら、果たして自動車交通はどの程度の削減が必要だろうか。

 再び、2002年の交通経済統計要覧という資料の数字を使うと、現状の日本では1人が1km移動すると、平均的には112.1グラムのCO2が出てきているので、これを50%削減すると、112.1×(1-0.50)=56.0 つまり、平均的には56.0グラムのCO2しか出さないようにしないといけないということである。そういう状態になるように比率を逆算すると、下の表のようになる。グラフにすると、右である。色を塗った面積の合計は50%減少している。

 

交通機関 旅客輸送のシェア 1人1km運んだときのCO2排出量(g)
鉄道 69.6% 19g-CO2
バス 7.0% 53g-CO2
自動車 20.6% 175g-CO2
飛行機 2.7% 111g-CO2

鉄道のシェアが、32から69になるので2.18倍、自動車は0.38倍になるので、62%減ということである。

さらに、削減量に関するいろんな数字を見ていると、最も強烈な数字としては80%削減が必要などというものも見かけることがある。

 この場合だと、112.1×(1-0.80)=22.4 つまり、平均的には22.4グラムのCO2しか出さないようにしないといけないということである。そういう状態になるように比率を逆算すると、下の表のようになる。グラフにすると、右である。色を塗った面積の合計は80%減少している。

 

交通機関 旅客輸送のシェア 1人1km運んだときのCO2排出量(g)
鉄道 92.3% 19g-CO2
バス 7.0% 53g-CO2
自動車 0.6% 175g-CO2
飛行機 0.08% 111g-CO2

こうなると、自家用車使用禁止令でも発動しないと実現不可能である。だが、場合によってはこういうシナリオも存在しうるという点で、頭の隅にちょっと置いておいてもいい話だと思うが、いかが?

 

 

緑化軌道のメンテ

手入れの届いた芝がまぶしい.鹿児島の路面電車.ほぼ全線にわたって緑化軌道になっているようだ.ところが,南国特有の悩みがあるらしい.

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これ.温かいので,草がよく育つらしい.

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言われてみると,あちこちニョキニョキ生えている.

いちいち草取りしてるとたいへんだ.

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そこで登場.芝刈り機,じゃなくて芝刈り電車.

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厳密に言うと散水車が軌道芝刈り機を牽引しているようだ.このロータリーカッターで草刈り.

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まぶしい芝を保つには,秘密兵器があった.

高架道路よサヨウナラ

Düsseldorfの中心街のこの辺は,航空写真では工事中,ストリートビューでは高架道路が確認できる.

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2016年夏現在,現地に行ってみると工事真っ最中であり,高架道路は既に撤去されている.その跡地には路面電車が走っている.

上の写真と下の写真,よく見ると,右側にH&Mがともに写っており,中央やや左に各階に赤い張り出し看板が出ているビルが写っている.同じ場所だ.

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写真の奥側から反対を向くとこんな感じ.

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この線路の横には一方通行地下トンネル入り口(いや,正確には出口か)が口を開けている.まだ工事は完全には終わっていないようだが,一応共用されているようだ.

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トンネルの反対側は,ずーっと先で視界に入る範囲には無さそう.

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やや東には反対向きの一方通行トンネルの入り口がある.

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工事が各所で行われている段階だが,完成すると,付近一帯は自動車が排除されて歩行者と路面電車だけの,公園のような空間になるのではないかと思われる.何年かしたら再訪して完成形を確かめてみよう.

自転車ヤッホー

ケルンから例の「Inter City 2」に乗って1時間半ほど.ミュンスターに到着.この街,あっちもこっちも自転車だらけである.ぼやぼやしてると,チーンと鳴らされる.

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中央駅前には自転車駐輪場兼自転車貸し出し所があり,旅行者でも貸してくれるらしい.(…が今回の調査目的は歩行者空間なので,パス)

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交差点の「自転車専用レーン」はもちろんのこと…

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自転車専用道もある.幅員構成は「歩道+自転車道+歩道」である.日本の某役所が見たら「自動車道」の間違いじゃないか,と言われそうな幅員構成だ.

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他の道路とは基本は平面交差だが,交通量の多い車道との交差は一部立体交差になっている.

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あちこちに駐輪場があり,自動化された立体駐輪場もあったりするのだが,こういう変わった駐輪場もある.

何が変わっているかというと,自動車がすれ違えるだけの幅員のある道路の半分を使って,それもわざわざ交差点近くに駐輪場を設置しているのである.

「自動車交通の静音化+駐輪場」の一石二鳥やね.

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現地の自動車にはこういう金具?も付いている.自転車キャリアだ.

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よく見ると,このキャリアには自動車本体とは異なるナンバープレートが付いている.牽引車両扱いなのかもしれない.

自動運転の自動車

自動運転の自動車が話題になっているが,忘れてはいけないことアリ.

運転が自動になるだけで,都市空間の利用効率が劇的に上昇したり,エネルギー効率が飛躍的に上がったり,環境負荷が顕著に下がったりするわけではないです.

以上,念のため.

エコカー減税絞り込み燃費基準厳しく

 政府・与党は環境性能の高い自動車の取得や保有にかかる税を軽減するエコカー減税について、2017年春から対象車の燃費基準を厳しくする検討に入った。同年春に期限が切れる減税措置を2年以上延長する一方、対

情報源: エコカー減税絞り込み 燃費基準厳しく 来春から 政府・与党検討

もう,(1人あたり排出量で見て)バスレベルが最低基準でいいんじゃないかな.2段階の基準にして,厳しい方は電車なみにした方がいいんじゃないかな.

「エコカー」というと環境にやさしいように聞こえるけど,所詮もとの環境に厳しい乗り物が基準なだけで,目立って環境にやさしい乗り物というわけではなかったわけだし,本当にCO2排出減らしたいのなら,電車やバスよりも排出量が少なくなるかどうかがキーポイントだよね.

ここでも緑化軌道

豊橋駅前である.ここでも緑化軌道が導入されはじめている.

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次の信号までの区間だけ,しかも片側だけなので,試験施工かもしれない.以前は試験施工はひどいものが多かったが,最近はレベルが上がってきており,なかなかきれいである.

鹿児島では鹿児島中央駅前だけやってみて,市民の反応がよかったので,ケーサツがゴチャゴチャ言ってくる前に全線一気に緑化軌道にしてしまったらしい.

この緑化軌道,なかなかきれいなので,この際全部しちゃえば?
(誰が緑化費出すか,という話もあるが)

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リニア平城山駅?

リニア新幹線の「奈良市付近」の駅の位置については諸説あり,北は京田辺,城陽,祝園,生駒市高山,高の原,JR奈良,金魚で有名な大和郡山,そして南は天理.

地質調査をしていたという噂話から,奈良市内ならJR平城山駅付近という話もあるようで,確かにこの辺は東西方向に市街化されていない地区が広がる.丘陵地なので,地震に対してもやや有利である.

都市計画上の土地利用の方針である用途地域を見てみると,何とここは用途地域の指定対象外のようであり,風致地区(自然保護地区のようなもの)だ.しかも大半が第一種.高さ8mまでのようなので,高架橋は無理じゃないかな.切り土盛り土は2mまで.

さらによく見ると,この付近は古墳だらけである.古墳に印を付けてみると,こんな感じで,この東西方向に広がる緑のベルトの南半分は古墳を避けて線路や道路を敷くのは困難そうである.

平城山

北半分は古墳こそ無いようだが,奈良なので,単に現時点で古墳等の重要な文化財が発見されていないだけかもしれない.神社の裏山を調べてみると実は…だった,とか.

風致地区の件はクリアしたとしても,工事を始めると「歴史的発見」がいろいろとあるかも.(工事計画としては,「チャレンジャー」かも.)

屋上緑化?

京都駅の在来線ホームの屋根の上.屋上緑化の試験施工かしら?

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コケ? メンテナンスフリーの厳しい環境に強いコケがあるらしいが,この屋根の上は想定以上に厳しいのかも.「地肌」が見えてしまっている.

コケは陽光を受けてすくすく育つと言うよりは,湿気が命じゃないかと思うので,南側斜面は太陽光パネルにして,北側斜面をコケにした方がいいのでは?

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なお,ここ数日ミュンヘンネタを書いているその流れで書くと,ミュンヘンの中心街にはこういう屋上(軒上?)緑化があった.

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ここは,どこかで栽培した芝生シートを敷いている感じだね.

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【祝】ゴッタルトベーストンネル開通

ついに,スイスのゴッタルトベーストンネルが開通した模様.

 スイス・アルプスを南北に貫く全長57・1キロの「ゴッタルドトンネル」が1日、開通した。日本の青函トンネル(53・9キロ)を抜いて世界最長の鉄道トンネルだ。開通式には、スイス政府首脳や、近隣のメルケル…

情報源: スイスに最長の鉄道トンネル開通 青函抜き全長57キロ:朝日新聞デジタル

ということは,3日前に通ったこのトンネルは「世界最長トンネル」の”最後の姿”だったということか.

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実はスイスは新幹線相当の線路がほとんど無い国であり,その中でもまとまった高速新線相当になるのが今回のゴッタルトベーストンネルである.

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何で「ベース」という名前がついているかというと,通常はトンネルをなるべく短くするために線路は山を登って,いよいよ登れなくなると最小限のトンネルを掘る,というのが基本だ.だが,この「ベース」トンネルは山のベース,つまり,下の方をわざわざ長いトンネルで抜けており,山を登らずになるべく緩やかな勾配で山地を抜けることを目的として建設されている.つまり,実は貨物列車対応のトンネルなのである.

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スイスの自然豊かなアルプスを自動車の公害から守るため,鉄道貨物を通しやすくしたわけだ.

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日本も環境対策を前面に押し出して鉄道建設した方がいいかも.

リンク先の記事には,貨物列車優先だという話は書いてあるが,その背景政策までは追い切れていない模様.