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与党内で財政緊縮派vs積極派らしいが…いい政策あります

「アフター・コロナは遷都で明けろ」田中角栄なら、そう言うだろう。

情報源: 田中角栄が生きていれば必ず断行したはず…イマドキの政治家には絶対にやれない”ある経済再生策” 日本の最大の問題は「東京一極集中」にある (2ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

3.11直後には結構首都機能移転の話があったが,今はどこへやら.

1990年代には国会で首都機能移転が決議されたものの,「カネがない」と理由で見送りに.

その額当時の見積もりで10兆円.でも大丈夫.経済成長していないので,物価も基本的にはあまり上がってませんから.

10兆円なんてすぐじゃないですか.コロナ対策で必要だーーーーっって10兆円以上予備費で確保して,そのカネどこに行ったの? まだ使ってないよね. それ,使えば? 妙なところに湯水のように突っ込むよりも確実に効果ありますから.

なお,リンク先の対談ではいくつかの候補地や可能性のある地域が出てきますが,1990年代の議論なので,その後の大規模災害の発生状況や,今後発生する可能性のある大規模災害の予測が更新されていることを織り込んで,再度見直したほうがいいと思う.

「立川で大丈夫」って思ってませんか? そこ,災害の発生状況(三連コンボ+気象災害など)によっては陸の孤島状態になりますから.

新幹線30兆~50兆円投入を

鉄道に関する自民党のプロジェクトチーム(西田昌司座長)は19日の会合で、整備新幹線など高速鉄道網に今後10~20年間で総額30兆~50兆円規模を投じるよう求める提言案を示した。

情報源: 新幹線30兆~50兆円投入を 自民PTが提言案、単線整備も | 共同通信

マジすか.

今のままだと,基本計画線全線開通までに100年かかるレベルの投資しかしてないので,本当にこの案が通れば全基本計画線ができるレベル.

下のスライドはちょっと前に講演で使った資料の一部.数字が古いので注意(数字をupdate).
(自民PTの資料ではありません)

 

第2青函トンネル建設へ調査会設立

道内と本州を海底で結ぶ第2青函トンネルの建設を目指す調査会を近く設立する方向で調整に入った

情報源: 第2青函トンネル建設へ調査会設立 自民道連が調整:北海道新聞 どうしん電子版

金払ってないので,冒頭部分しか読めないが,そういうことらしい.

御存知の通り,青函トンネルは在来線の貨物列車と新幹線が共用しており,新幹線の風圧で貨物列車が転倒したりしないように新幹線の速度が160km/hに抑えられている.

トンネルそのものは,フル規格サイズで建設されているので,連続勾配の上り下りができる車両ならば260km/h以上で運転できる(はず).もったいないもったいない.

これに加えて,青函トンネルは全通から35年を経ており,掘削開始の1964年からだとすでに初期にできた部分は60年近く経過している.建設を意思決定するまでに10年,新トンネルの工事に15年とすると,新トンネル完成時には現トンネルの一部は80年以上経過した老朽構造物になっている.

今のところは安全性は担保されているが,異常を検知して議論を始めていては遅いかもしれないので,荒唐無稽な議論開始ではない.

さて,新トンネルについては議論はこれからだが,道路トンネルと単線の在来貨物専用線を1つのトンネルとする案を見たことがあるが,私なら別案を考える.

道路併用とするかはともかく,新トンネルの線路は絶対に標準軌と狭軌の併用にすべきである.

現トンネルはいずれ大規模改修が必要になるが,列車を止めるわけにはゆかない.そうすると,改修工事中の一時的な列車の迂回経路が必要になる.新トンネルを標準軌と狭軌の併用にしておけば,その役目を果たせる.普段は,貨物列車と新幹線は別トンネルに分けて運用すればよい.

あるいは,新トンネルを新幹線利用主体とすれば,新幹線は電車なので,貨物列車に比べると勾配を登りやすく,新トンネルの長さを短くできる可能性がある.(海底部分の長さは勾配の緩急に関わらず同じなので,建設費はあまり変わらないという話もあるが)

いずれにせよ,新トンネル建設時には,老朽化した旧トンネルをどうするかという視点を同時に保つ必要がある.…が,政治家の先生方はそこまでわかってるのかなぁ.

#もっとも,現トンネルの新幹線の速度である160km/hは,確か当初の新幹線電車の青函トンネルにおける設計速度ではなかったかと思う.昔の新幹線電車の性能では,連続の勾配を200km/h超で運転できなかったんじゃないかと思う.(工事記録みたいな本に書いてあったような気が…)

経済対策にGDP10%突っ込んでの効果が「Why 5.6%!」

政府の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」が発表された.

「真水」が55.7兆円,事業規模が78.9兆円…なのに,なぜか期待される効果が5.6%.

55.7兆円というと,日本のGDPが536兆円ほどなので「真水」はGDP比10.4%,事業規模ならGDP比14.7%にもなる.ところが,なぜか期待される効果が5.6%.

昨今は公共事業の経済効果の乗数効果が低いなどと言われているが,さすがに突っ込んだ金額に効果が達しないという例は少ない.

ところが,鳴り物入りのはずの経済対策の効果が,なぜか5.6%.

対策メニューが間違っているか,自称「真水」が実は泥水だったかのどちらかだよね.
(ちゅうか,5.6%を自ら公表した時点で,対策は失敗が予め判ってますと言っているようなものじゃないの.)

書類の上だけで世界恐慌対応レベルの対策に見せかけても,実物は操れないよね.

やはり財務省は現状把握能力が無いようである.

 

【祝】インフラ投資法成立

道路や橋、鉄道など老朽化したインフラを刷新するほか、高速通信網を整備する

情報源: 米インフラ投資法成立、バイデン氏「21世紀競争に勝利」: 日本経済新聞

ただし,米国の模様.

5年間で5500億ドル(≒63兆円)を支出し、既存の予算を含めて計1兆ドル(≒115兆円)規模を投じるとな.

内訳は,道路や橋の改修に1100億ドル(≒12.7兆円)、バスなど公共交通機関の刷新に390億ドル(≒4.5兆円),高速通信網や電力網の整備に各650億ドル(≒7.5兆円),電気自動車(EV)の充電設備に75億ドル(≒0.9兆円).

この話自体はトランプ政権時代から検討されていた模様で,政権が変わっても引き継がれたようだ.つまり,誰が政権をとっても必要な政策であるとの認識だということ.このままでは経済ヤバいという認識だ.

経済ヤバいというと,1930年代の世界恐慌があったが,この後にはニューディール政策が行われており,金融政策のほか,景気回復や雇用確保政策として公共事業も大規模に行われたことはよく知られている.1940年の米国GDPが1000億ドルあまりであるのに対し,同年のニューディール策への投資は90億ドルほどであり,GDPの9%程度が投じられたわけだ.

当サイトのこのリストは米国ニューディール政策のリストを参考に作成されている.GDPの9%というと,日本なら50兆円ほどだ(年額真水,これを10年くらい継続).

さぁ,財務省には現状認識能力はあるだろうか.30年間緊縮政策をやってきて,確たる成果が出なかったわけだが,まともな分析能力があれば基本中の基本政策が間違っていたという結論に達するだろうと思う(…が,彼らの能力はそれに達しているだろうか).

要するに,30年もやってダメなら,アホでも気づくはず,という話.

コロナで経済が死にかかってるぞ.小さな政府の代表だと思っている現代の米国ですらインフラ投資するご時世だぞ.

予備費余らしてんじゃぁねぇよ.何してんだよ.

詰めが甘い「幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査」

以前から億単位の調査費をかけて何をしてるのかわからなかったが,こういう調査結果が並んできた模様.

以前から何をしているのかよくわからないので,知ってそうな人に時々尋ねると「せんせ~の講演とか論文をくっつけたようなの作ってるみたいですよー」とのことだったが,確かにそのとおり.

どこのコンサルが作ったんや? ワシが前から講演したり論文にしたりしてるのをほとんどそのまま組み込んでるやんけ.何だよこれ.調査費の1割くらいはワシにもよこせよ.おめーらアイデアで金稼いでるなら元ネタにも敬意を表せよ.(*1)

ところで,この令和2年調査結果概要なんだが,p.5を見て「詰めが甘いな」と感じた.郊外部や山間部を新線化して,市街地部を既設線改軌(もしくは狭軌ならそのまま)というものだが,詰めが甘い.

市街地部分なら「連続立体交差事業」というものがあるじゃないか.線形改良できるような枠組みではないが,建設費の大部分を街路事業費から出せるので,高架線の建設費を大幅に圧縮できる.

省内の別部門への忖度が働いて書きにくいのかもしれないが,新幹線化して列車の長さが長くなったり本数が増えたりして,さらに市街地が発達してきて,地べたを新幹線が走ってたら邪魔だろ.

何もないところに新線を敷くには使えないけれど,「改軌」するなら元々の線路はあるわけだし,そのまま既設線使うなら市街地を横切る線路は現存するわけだし,連立が使える可能性あるんじゃないの?

まだまだやな.

(*1)とある大手有名な大学の都市計画を専門とする先生が「ヒアリングにやってきて,タダでアイデアよこせという輩が多い」と怒ってたのに遭遇したことアリ.

 

「情報屋台」の精度

メールでの問い合わせに返答しただけなのに,勝手にweb記事に引用として登場させているのを発見.お行儀悪いのね.

この記事

羽越・奥羽のフル規格新幹線整備を応援している大阪産業大学の波床(はとこ)正敏教授ですら、報告書を評価しつつ、「高速鉄道を単線で整備することを考えなければならないようなケチ臭い国は日本以外にはありません」と、その内容に疑問を呈している。

あぁ,確かに書いたけど,「その内容に疑問を呈している」んじゃなくて,「鉄道にカネをあまり出さない”国の政策”がケチくさい」という指摘なんだけどね

この(山形県ほかの作成した)報告書について(というか,日本におけるいずれのインフラ計画でも共通して)疑問を呈した部分としては,費用対効果の指標である「B/C」の計算における社会的割引率の設定だ.低成長社会の実態に合わず,相変わらず大きな値が設定されたままだという点なんだけどね.

「お問い合わせメール」にもそのことは書いたんだけど,この人,「社会的割引率」がわからなかったのかな.

なお,この部分も理解が足りていない模様.

運行システムをどんなに優れたものにしても、保線作業をどれほど熱心にやっても、鉄道にはトラブルが付きものである。倒木や土砂崩れで不通になったりもする。そういう時に素早く復旧させるためにも、高速鉄道なら複線にするのが常識であり、当然のことなのだ。

鉄道に対する一般論としてはそうだが,明治や大正時代に作った在来線は地形にへばりついて建設したおかげで「倒木や土砂崩れ」で不通や遅延を招くことが多い.東北新幹線の遅れの原因が,在来線の線路を改軌しただけの山形新幹線や秋田新幹線のことが多いのは,東北の人なら常識のはず.

だが,新幹線は単線だろうが複線だろうが高速運転するためには,険しい地形はトンネルや橋梁で通して真っ直ぐな線形にすることになるので,在来線に比べて遅延が非常に小さくなる.東海道新幹線の平均遅延は,関ケ原で冬季に遅れまくっていても1分以下.在来線が雪で埋もれていても北陸新幹線は無傷のことも.

つまり,遅れにくい新幹線だからこそ単線で建設しやすいというわけ.(でも,そんな事を考えないといけない時点でケチくさいけどね.)

それから,新幹線の「盛土」は,東海道新幹線なら当たり前の構造.比較的最近建設された北陸新幹線の長野以南でも割と多く使用されているので念の為.

 

首都機能移転論が再燃

自民党で、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、首都機能を地方に移転する議論が再燃している。東京一極集中を是正し、都市部の人口密集によるリスクを回避するのが狙いだ。

情報源: 自民、首都機能移転論が再燃…テレワーク拡大が追い風に : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

 

もう何度この手の議論を繰り返してきただろうか.またかよ.地震,疫病,火山,非効率.
危機感のある人が居ないんだなぁ.
実行力のある人が居ないんだなぁ.

 

国会等の移転を決議したのが,平成2年.それから30年.今日が大丈夫なら明日も大丈夫.
危機感のある人が居ないんだなぁ.
実行力のある人が居ないんだなぁ.

 

全国あちこちの候補地の検討も,既にしたよね.でも実現していない.
危機感のある人が居ないんだなぁ.
実行力のある人が居ないんだなぁ.

 

移転費用が10兆円,10兆円を惜しんで亡国.でも10兆円って,今般のコロナの補正予算予備費レベルなので,必要なら支出できるレベルだよね.つまり…
危機感のある人が居ないんだなぁ.
実行力のある人が居ないんだなぁ.

 

#リニアだけでは解決しない模様.

リニア「先に名古屋~新大阪の工事を」

先に名古屋~新大阪間の工事を開始してもらいたい

情報源: リニア中央新幹線 大阪・吉村知事「先に名古屋~新大阪の工事を」(ABCニュース) – Yahoo!ニュース

 

「先に名古屋~新大阪の工事を」と言いたくなる気持ちはわからないでも無いが,それだけでは表面的な事象にかみついているだけになる.

JR東海には国から3兆円が低利融資されているが,この本来の目的は名古屋-大阪間の工事が東京-名古屋間とほぼ同じ時期に完了できるようにすることである.3兆円が無くても元々名古屋開業は2027年予定であったし,名古屋-大阪間は建設費4兆円弱であり,この4兆円弱のかなりの部分をカバーできるように決められた額が3兆円である.
(名古屋開業から10年遅れでは無く,3年程度の遅れの開業で済むような金額が設定されている)

…ところがである.
リニア建設のそもそもの目的を考えてみると,南海トラフ大地震による東海道新幹線の長期不通の影響を回避することが最も重要である.次点で東名阪間の巨大経済圏の活性化である.

つまり,東京-名古屋間の建設が遅れた場合の最も深刻な影響は,経済活性化が遅れることではなく,東名阪間の動脈寸断による重大な不経済の発生である.

したがって,知事が発するべき言葉は,「先に名古屋~新大阪間の工事を開始してもらいたい」という表面的な話ではない.

「リニア開業が遅れたとしても,南海トラフ大地震発生に備えて,東京-大阪間の動脈を確実に確保すべき」と発言すべきであった.巨大リスク発生の可能性に目が行っていないのである.

それは具体的には何かというと,
“2037年までに北陸新幹線の大阪開業を実現させ,同時に,輸送量の面でも十分な能力を確保”
することである.

#あるいは「ちょっとは静岡の声に耳貸したれや」である.
#相変わらず知事殿は平常時のことにしか目が行っていない模様.
#イソジンの件で叩かれているようだが,イソジンも殺菌用に塩素が溶け込んでいる水道水も,うがいの効果は大して変わらないという話もあるので,各社のうがい薬とともに大阪市水道局の水と府営水道の水も一緒に並べてあげたら良かったんではないかい.
(「風邪の予防にうがい」自体は悪くないと思うがねぇ.薄い塩水で鼻うがいってのもあるよ.)