ラスト・ワン・ステップの克服

交通バリアフリー法が施行されて15年,街の中の段差は縮小され,駅にはエレベータ等も整備されて,ずいぶん段差は解消されてきた.ところが,最後の1段がなかなか解消されなかった.ホームと電車の床面との間の段差だ.この段差のために車イスの人は単独では乗車することが出来ず,駅員の手を必要とするか,介助が必要となるのである.

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解消されない理由は,電車の乗客が増えると車両が沈み込むので,そのために少し高くしておかなくてはならないのだ,という理由だった.だが,エアサス式の電車は,エアサスの高さが一定になるように空気量が調節されているので,客数によって車両が沈み込むことは基本的にはあり得ず,この説明は「方便」のようであり,車両メーカーや台車メーカの方からもその旨,裏はとれている.

つまり,旧式の電車はともかく,最近の電車だけが走っている路線では,その気になれば最後の一段の解消が可能なのである.

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中には上の写真のように特定の出入り口だけちょっとしたスロープを設置することで段差を解消してきた路線も存在する.(2005年撮影)

DSCN1980そして,最近になってようやく,交通バリアフリー法に基づくバリアフリー計画に,このラストワンステップの解消を一部の意識の高い鉄道会社が目指すようになってきている.

ラストワンステップがバリアだと認識されるまでに15年,かなり長かった.