引き算と割り算

最近,基礎的財政収支を黒字化することを目標にすべきか,それとも,GDP比を下げるべきか,といった議論が見られる.

前者は,国の会計についての差,つまり引き算についての議論である.後者は比率なので,割り算である.判断には考え方により,2とおりの基準があるということであろう.

一方,事業を実施するかどうかを決める際の判断基準として費用と便益を比較する方法があり,費用便益比という割り算が使われることが多く,B/Cが大きいほどいい事業だと見なされる.こっちにも費用と便益の差分をとって比較する方法もあり,2とおりの基準がある.

引き算を使うか,割り算を使うか,流儀があるようだが,どちらを使うかについては目的によりけりだろう.

「昨今は公共事業を増やしても乗数効果はそんなに増えません」などとテレビで発言する経済学者もいるようだが,じゃぁPBを黒字化すれば経済効果が発揮されるかというと…それにはナゼか言及しないのね.支出を削れば乗数効果が例え1でも確実にGDPは下がるよねぇ.

公共の支出を占める割合が最も大きいのは福祉関係である.これは人口が減らない限り減りようがない.じゃぁ減らない食い扶持をどうやって稼ぐかという議論があってしかるべきなのだが,使わないことを美徳とする経済学者がいるようである.「使わない」戦略は,基本的には蓄えがなくなったら終了である.日本経済の場合は,「メシの種」が無くなったら終了と言うこと.適切な投資は必要だよね.

サラリーマンは入ってくる給料は基本的には定額なので,使わないことは美徳になるのかもしれないが,国の経済活動は使わないと停滞すること必死である.サラリーマン経済学者は自分の周囲3mの範囲で考えてみたのだろうか.

経済学者を名乗りながら,こっそり会計学を語る人が多い今日この頃.どうやったら経済が活性化するのか経済学者の積極的意見を聞いてみたいものである.本来は経済学って,そこらへんに関する学問じゃないのかなとは思う.

#IMFから「消費弱すぎる 構造改革を」などと言われているようだが,PBを黒字化すれば消費が増えるのか? 発想が老人化している人が多くないかい? 家でじっとしているのがベスト,なのかい?

#いつまでも,あると思うな,メシの種