振り子式台車

カーブを比較的高速で曲がることのできる電車…例えば,これですね.

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この電車の足回り,台車は特殊なものが使われている.下の写真がそうなのだが,ちょっとわかりにくいが,中央奥に円弧の下半分のような大きな金属部分があり,それを手前下側にあるローラー(ころ)で支えている.そうすると,円弧がローラー上でゴロゴロと左右に動くことができる.

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さらに電車の重そうな機械類を全部床下に配置すると,カーブに差し掛かったときに低い重心が遠心力でカーブの外側に引っ張られ,車体全体が内側に傾く.(そういうわけで,上の電車の屋根上にはほとんど機械類がない.)

何ともうまく考えたものである.車体が内側に傾くと,車内では曲線通過時に遠心力を感じにくくなり,少々速く走っても客の乗り心地は悪くならない…という装置である.振り子のように左右に振れるので,「振り子式」.

見てのとおりかなり大がかりな仕組みなので,最近では台車と車体の間にはさまっている空気バネ(エアサス,ですね)に入れる空気の量を車体の左右で調整して車体を傾ける装置の方が多くなりつつある.例えば,こういう電車ですね.

DSCN0088そうそう,忘れてた.これの方が有名ですね.700系電車までは255km/hでしか走れなかった東海道新幹線の曲線を,直線部分と同じ270km/hで走れるのはエアサスを使って車体を傾ける装置のおかげ.

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もっとも,最近では振り子式電車をわざわざ作るのではなくて,線路の曲線のレールの左右の高さを変える量(カント)をぎりぎりまで大きくして,通常タイプの電車を走らせる方法でもあんまり曲線での速度が変わらないことから,段々と振り子式電車は使われなくなりつつある.

#まだ実例はないが,エアサス式車体傾斜装置は後付けでも装備できる可能性があるので, 既存の電車の改造でも対応できる可能性はありそう.バスのニーリング装置と似たようなものであるが,バスのニーリング装置は後付けのものも多そう.

#振り子式電車はカーブで脱線しにくいと思い込んでいる人が多そうだが,重心を低く設計することが多いので脱線しにくいだけで,振り子式台車がカーブでの高速走行に強いというわけではない.あくまで,乗り心地改善.