アベノミクス消費拡大遠く

 個人消費や雇用に関する11月の経済統計が27日、発表された。有効求人倍率はバブル期以来の高水準となった一方、消費者物価指数や消費支出は低迷。第2次安倍政権発足から4年がたち、雇用指標は改善したが消費は依然力強さを欠き、デフレからの完全脱却は見通せない。

情報源: アベノミクス4年:消費拡大、依然遠く – 毎日新聞

「消費の拡大」というお題目を唱えるだけで,金さえ潤沢に供給すれば使うと思ったんだろうかしら?

資金不足だと使いようが無いことは確かだが,どういう局面になると人は消費をしたくなるのかということの分析が不十分じゃなかったのかと想像する.

社会が高齢化しているという.高齢者は消費したがるかというと,むしろ逆である,もう大概に買い換えればいいんじゃないかと思うようなものでも,使えなくなるまで使い続けるのが高齢者である.

若い頃に子育てをする際に資金的余裕が少なかった経験が染みつき,資金に余裕が出来るようになった頃には,あと何年生きるか分からないのに新品を買うのはもったいないと考えるようになり(実際にはリタイアしてから20-30年あるんだけどね).かといって若い人は相変わらず資金不足だし.

企業はというと,ここも不況が長かったせいでいつ好景気が終わるのかおびえながら設備投資に二の足踏んでるし…などなど,資金を供給しさえすれば行動が変わるかというと,もはや染みついたパターンは変えようがないというのが現実ではないだろうか.1人あたりの消費を大きくしようとしても,誰もが24時間ずつしか与えられていないという制約はかなり厳しいし.

じゃぁ,一体,思い切った消費をするのはいつだろうかというと,ヒントは生活パターンが大きく変わる瞬間,具体的には,進学・就職・結婚・出産・転居・家の購入,企業でも移転.このあたりだ.心機一転の際には持ち物の高度化が図られることも多い.

進学・就職・結婚・出産・家の購入,このあたりは人口問題そのものなので,地道な取り組みが必要だが,転居や移転はある程度コントロールが可能だ.

都市のコンパクト化に伴う転居,国土上の各種機能の配置転換に伴う転居などなど,都市計画・国土計画上の立地の適正化に伴う消費の拡大というのは選択肢として残されている可能性はあるように思われる.