大阪府知事,北陸新幹線延伸に反対か!?

 大阪府の松井一郎知事は21日の会見で、与党プロジェクトチーム(PT)が決めた北陸新幹線の敦賀(福井県)以西ルートの建設費について「(沿線自治体の負担は)ルールに基づくべきだ」と述べた。自治体の中には

情報源: 沿線自治体負担「現行ルールで」 北陸新幹線巡り大阪知事

スポーツ新聞風タイトル付けてみました.大阪府知事の発言云々以前に,この日本経済新聞社の記者の分析は正しいんだろうかと疑っている.元記事については有料会員ではないので,無料部分だけしか見ていないが,その範囲を引用してみると…

 大阪府の松井一郎知事は21日の会見で、与党プロジェクトチーム(PT)が決めた北陸新幹線の敦賀(福井県)以西ルートの建設費について(沿線自治体の負担は)ルールに基づくべきだ」と述べた。自治体の中には関西広域連合などで再び議論するように望む意見も出ていたが、松井知事は再議論の必要性を認めなかった。

 整備新幹線はJRの貸付料などを除くと国が3分の2、自治体が3分の1を負担することにな…

…事実関係は太赤部分のみ.つまり,日経新聞が付けた記事タイトルの「現行ルールで」は記者の推測なワケだね.

もし本当に大阪府知事が「現行ルールで」と発言したとすると,下馬評では有力とされる京都駅から新大阪駅へと直接結んでしまう北ルートが採用された場合,京都府下にできる駅は京都駅のみ.京都駅は府県と同格を持つ政令指定都市の京都市内なので,京都府にとっては資金を出してもメリット少なし,という状態になる.

最悪のケースでは,京都府が京都市に大半の負担を求め,府は負担の意思ほとんど無しということになりかねない.こうなると,福井県境-京都駅-大阪府境の区間の建設が暗礁に乗り上げ,敦賀以西の整備自体が不能になる可能性が高くなる.つまり「大阪府知事,北陸新幹線延伸に反対か!?」という状態だ.

だが,どうも「現行」とは言っていないようなので,単に「ルール」と発言しただけならば,『 合理的な方法で決めるべきであり,声の大きさだけで決めるべきではない』という趣旨の発言をしただけじゃないのかなぁ? プロジェクト全体が暗礁に乗り上げかねない意見をわざわざ大阪府知事ともあろう人が軽率に言うかねぇ?

それからたとえ「現行」を付けたとしても,確か広域連合では米原ルートが採用になった場合に広域負担をするような話になっていたかと思うので,その際の手順を準用することを指して発言した可能性もある.

どっちにしろ記者の推測が多くて,伝達精度の低い記事っぽいなぁ.

ちなみに,百歩譲って,路線の通過延長に比例させて沿線自治体に建設費を負担させる現行の方法を採用するとした場合,府県と政令指定都市とは行政的には同格なので,福井県の通過距離,(京都市以外の)京都府の通過距離,京都市の通過距離,(大阪市以外の)大阪府の通過距離,大阪市の通過距離,以上の5者によって按分するのが「現行ルール」になるのではないかという識者の意見もある.そんなわけでこの百歩譲った場合であっても,無議論で自然と負担額が決まるわけでは無いかもしれないので,念のため.

#政令指定都市が整備新幹線の沿線になるのは,今回が実質的には初めてかも.熊本市は政令指定都市だが,着工時後に指定されたので,負担割合決定時には普通の県庁所在都市じゃなかったかと思う.

(追記)こっちの記事の方が正確かも.