B/C=1.1について

北陸新幹線のルート別の試算結果が国交省から公表されたが,特急列車が毎時2本,最大12両編成で運転されているにもかかわらず,意外とB/Cが小さいなと思った方も多いと思う.

この原因は湖西線にある.関西と北陸を結ぶルートとして1970年代に建設された北陸線は,新幹線ではないものの距離の短縮と在来線での高速運転を目指した路線であり,かなり高規格だ.

大都市圏の市街地の工事が入る分,B/CのCが大きいことも原因だが,Bの方にもいろいろ課題がある.

B/CのB,つまり便益を計算する際,プロジェクトが実施された場合の基準になるのはあくまで現況であって,出来上がった後の水準ではない.というわけで,現況の水準が高ければ高いほどB/CのBは小さく出るという,なんとも皮肉な指標である.がんばってこまめに整備すればするほど,いいプロジェクトを実施してもらいにくくなるという指標だ.

B/Cは1を上回ることは必要と言えばそうだが,B/Cが最大にものを選びさえすれば望ましい結果が実現できるかどうかは分からない.

プロジェクト評価の方法として,いきなりB/Cを出す方法はそろそろ止めて,まずは旅客の流動に見合った望ましい水準を示し,それを実現するプロジェクトのB/Cが1を上回るかどうかを示すという方法がいいのかもしれない.

#その後も相変わらずネット上にはB/Cの正しい解釈をできる人が少なそうで,これが世間の縮図なのかなと感じてしまう.B/Cが小さいことが需要が小さいことを表しているわけでは無く,またB/Cが小さいからといって採算が悪いわけでも無いということに注意.(11/20追記)