ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(VOL.5編)

以前,某政党の機関誌のリニア関連記事批評したところ,(その影響かどうかは定かではないが)敵認定のレッテルを貼っていただき,大変光栄であった.(まじめにいい指摘部分は評価し,いい加減な考察部分には批判をしたんだけどなぁ.聞く耳持たないって困ったもんだね.)

ところで今回は大阪の与党の政策広報誌に記載されている都市計画,交通計画がらみの話は妥当な方針かどうか考察してみることにする.まじめに考察するので,いちいち逆ギレしないでね.

今回対象とするのVol.5(主に港区向け?)には地下鉄の話が登場する.

1枚目の漫画には…

  • 都知事:全体のでっかいことはワシの仕事や
    M:地下鉄のことは,ボクに任せなさい!

という会話風のコマが登場する.Mは東京メトロをイメージしているようで,要は民営化した方が良いということのようである.

市営地下鉄を東京メトロのような事業体にすること自体は,将来の選択肢としてはあり得る.この先,追加的なインフラ整備をしないのなら民営化した方が効率化されるだろう.

ただし,民営化した場合は地下鉄会社は運営に徹するので,自ら新規の路線整備はしないであろうから,大阪市([新]大阪府?)には地下鉄インフラの整備という仕事は残る.これはJRを見ればわかる.近年のJRの新線で,完全に自己資金で建設や改良が成されたものがあるだろうか(大阪近辺では皆無です).

まさか,民営地下鉄会社に新規路線整備をしろと命令するわけじゃぁないよね.

ということで,その辺に気がついているなら民営化はありである.なお,民営化自体は府市統合とは関係の無いお話であるので,「one osaka」の政策の一部であるとの印象を与える形で広報するのが適切かどうかは議論の余地がありそうである.


2枚目の左側真ん中あたりには…

  • 「特別区にすると,仕事が重複しない!ムダがない!」と書かれ,さらに小さな字で「地下鉄・高速道路の管理」と橙色の文字で書かれ,橙色の文字は「東京都の仕事」(青い文字は特別区の仕事)ということで説明されている.

東京都の役割分担的にはその説明は正しいが,大阪の場合,地下鉄は交通局という交通事業体が組織されており,そもそも重複しているわけではない.府市統合されれば市の組織から府の組織へと組織の位置づけが変わるだけなので,特別区の設置によって地下鉄行政の中味が変化する可能性はあんまりなさそうである.

上に書いた民営化だとしても,特別区の設置は地下鉄民営化と関係が無い話のように思われる.ミスリードだね.(しかも,東京の地下鉄はメトロと都営の「二重」が今も続いているので,あんまり説得力ナシ)

高速道路についても,大阪については京阪神圏の都市高速は阪神高速道路公団で運営されており,元々府や市が直接運営しているわけではなかった.今は既に民営化されて阪神高速道路株式会社になっている.この部分についても府市統合とは関係なさそうである.図をにぎやかにするための「上げ底」状態かも.

もっとも,このチラシも自ら地下鉄の話も高速道路の話も,府市統合とは関係無いことを暗に認めていて,この東京都の説明の右側にある大阪市バージョンの図には地下鉄も高速道路も登場しない.そもそも,地下鉄も高速道路も「二重行政」とは関係ないことをこのチラシは認めている.

ということで,地下鉄の話も高速道路の話も,府市統合とは関係なさそうなのに記載されている,というのが今回のチラシに関する分析結果である.


チラシは何種類かあるようなので,別の機会に別のチラシも読んでみることにしよう.(たぶん,つづく)