新幹線基地の井戸掘削—JR東海と摂津市の裁判泥沼化—

これマズいなぁ,と思った記事.

JR東海が東海道新幹線の水の確保のため、鳥飼車両基地(大阪府摂津、茨木両市)で井戸の掘削を計画し、摂津市が掘削禁止を求めて提訴している問題で、同社は摂津市に対し…情報源: 地盤沈下に影響? 新幹線基地の井戸掘削 JR東海と摂津市の裁判が泥沼化   – 産経WEST

市境付近で地下水をくみ上げようとしているが,訴えている市の外なので,摂津市との協定の対象外だとして争っているというお話.詳しくはリンク先を参照.

地下水は市境など知ったこと無く流れているので,市境のわずか外側だからといって摂津市に影響が無いとは限らない.なので,市の主張はごもっとも.協定の範囲外なので,法的拘束力は無いという鉄道会社の主張もごもっとも.

この辺の論争は法廷に任せるとして,こういったトラブルが出るということが全国に知れ渡ってしまったことの方が大問題.今後,この鉄道会社が新規に工事をしようとすると,地元自治体や住民の目が厳しくなってしまい,「法やルールの抜け穴を使って意図しないことをするのではないか」と見られてしまう.つまり協力を得られなくなる可能性あり.特に駅ができない沿線が要注意.

これから約30年にわたって大規模な工事をしようとしているのに,頭が痛くなる話である.こういった小さな話を発端に,大きなプロジェクトが実行しにくくなる可能性無きにしも非ず.千里の堤も蟻の穴から崩れかねないというお話.

#なお,この鉄道会社は実は今までに大きな工事をしたことがないので,自治体や沿線対応はあまり慣れていない,という話は業界内ではたまに聞く.