JR新大阪-桜島間直通列車は大阪万博の救世主か?(その11-まとめ)

情報源: 大阪・関西万博 会場もよりの桜島-新大阪間に直通列車検討 JR西日本 – 毎日新聞

まとめておこう…と言ったきり数日経ってしまったが,まぁ,例のテレ授業,皆さんが思っているより準備に手間がかかる.お金持ち大学なら「無観客授業」をするだけで,事務職員がビデオ収録して,後はよしなにしてくれるらしいが,そういう境遇ではないので,毎日毎日,授業内容のオンラインコンテンツ化作業である.何だかんだで1コマに1-2日かかるので,平日はほとんど潰れてゆく…

さて,「JR新大阪-桜島間直通列車は大阪万博の救世主か?」のまとめである.キーポイントはJRではなくて,地下鉄中央線だ.船もヘリコプターも,客数をさばく点では全く当てにならないだろう.場所が場所だけに,徒歩も無理だ.

(1) 地下鉄中央線は今のままで何もしない場合…

 バスを数百台かき集めてピストン輸送.途中の渋滞は心配だが,そこよりもバスターミナルに平均6-7秒ごとに到着するバスをちぎっては投げ,ちぎっては投げ,という作業が必要.①バスをかき集められるか,②超高性能バスターミナルを整備できるか,これらが成否を握る.失敗すると客がバス停や地下鉄駅にあふれ,悪評待ったなし.

(2) JRが桜島まで新大阪や環状線各駅からの輸送に参戦した場合…

 JRの客は,結局のところ桜島から会場まではバス客に変身するので,やはりバスだ.JRで輸送する距離の分,バスの走行距離は減るので,バスをかき集める場合の必要台数は減るかもしれない.だが,キーはバスだ.
(1)と同じく,①バスをかき集められるか,②超高性能バスターミナルを整備できるか,これらが成否を握る.桜島-会場間のバスは連節バスを導入して単位輸送力を上げるという方法もあるが,結局はこれもバスだ.

(3) パークアンドライド駐車場を整備した場合…

 駐車場まできた客は,やはりそこから会場まではバス客に変身するので,やはりキーはバスだ.駐車場を変なところに整備すると,昔の「USJ渋滞」の再来になるぞ.(1)(2)と同じく,①バスをかき集められるか,②超高性能バスターミナルを整備できるか,だ.

(4) 地下鉄中央線を2分30秒運転にした場合…

 ちょっとバスへの依存は下がるが,まだバスは7-8秒ごとにやってくる.(1)(2)(3)と基本的には同じだ.

(5) 地下鉄中央線を2分30秒運転 & 増結8両化 & 180%まで詰め込み

 ここまでできれば,バスが会場のバスターミナルに到着するのは17秒毎で,何とか現実的なバスターミナルの能力で済みそうだ.基本的な輸送能力は「JR+バス」と「地下鉄中央線」でほぼ賄えるので,バス輸送はP&R駐車場輸送や遠方からの観光バスなどに割り当てても大丈夫そうだ.
増結には近鉄けいはんな線のホーム延伸は必要そうだが,準備工事が終わってそうなので,大規模な土木工事は不要そうだ.増結についても,高齢車両の入れ替えに合わせれば思ったほど費用はかからないかもしれない.あとは電力供給用の変電所の増強か.

結論.
① JRの参戦はバスの輸送距離の短縮には役立ちそうだが,救世主にはなりそうもない.
② 地下鉄に対してちゃんとインフラ投資をすれば,観客輸送問題はほぼ解消しそう.
③ インフラ投資をケチると観客輸送で苦労し,失敗すると悪評が立ちそう.