全幹法改正のポイント(定義編-その1)

対象編につづいて,「定義編」である.長くなりそうなので(その1).現行法の全文そのものはこちら

全幹法第二条では「この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。」と,新幹線の定義が書いてある.だが,この定義は今となっては古い.

国際鉄道連合(UIC)では,日本の新幹線のような高速で走行できる新線による高速鉄道の基準は,200km/hではなくて,250km/hだ.

ということで,第二条の改正ポイントは…

「この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百五十キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。」

ということで,これで世界基準に合致する.上越新幹線もまもなくこの基準に合致するようになるだろうから,+50km/h自体は単なる基準あわせで,実質的な影響はないと思う.

むしろ大事なのは対象編で追加した「新幹線鉄道に準ずる利便性を備えた幹線鉄道」の定義である.「見た目が新幹線」「構造物が新幹線」というだけでは意味が無いので,ある程度「到達時間が短い」ことを条件として加える必要はある.

まず考えられるのは,ミニ新幹線(新幹線鉄道直通線)とスーパー特急方式(新幹線鉄道規格新線)だが,現行法では,附則という付け足しの「おまけ」扱いである.これを,ちゃんとした幹線鉄道規格として追加することがまず考えられる.

ということで,第二条2として…

「2 この法律において「新幹線鉄道に準ずる利便性を備えた幹線鉄道」とは、以下の各号のいずれか1つ以上に該当する幹線鉄道をいう.

…としておいて,現行法の附則に書いてある項目を改善しながら追加する.まずは「準高速鉄道」あるいは「準新幹線」としてのスーパー特急方式の定義である.在来幹線鉄道以上,新幹線未満の鉄道であり,新線の場合と改良の場合の2種定義する.いずれも速度基準を導入しないと,何でもありになってしまう.

「一 新幹線鉄道規格新線 その鉄道施設のうち国土交通省令で定める主要な構造物が新幹線鉄道に係る鉄道営業法第一条の国土交通省令で定める規程に適合する鉄道であり,主たる区間を列車が百六十キロメートル毎時以上の速度で走行できるもの

二 準高速幹線鉄道 既設の鉄道線路を改良し,主たる区間を列車が百六十キロメートル毎時以上の速度で走行できるようにしたもの

つづいて,ミニ新幹線であるが,短区間の新設というのもアリだと思うので,その部分を追加.さらに,こだま号程度の利便性を要求.

「三 新幹線鉄道直通線 既設の鉄道の路線と同一の路線にその鉄道線路が敷設される鉄道もしくは新幹線鉄道ではない新設鉄道であつて、その鉄道線路が新幹線鉄道の用に供されている鉄道線路に接続し、かつ、新幹線鉄道の列車が国土交通省令で定める速度で走行できる構造を有するものであり,列車の運転区間全体としての表定速度が百三十キロメートル毎時以上の利便性を実現することが望ましい

これだけだと,全幹法の附則を本則に入れただけに近いので…(つづく)