全幹法改正のポイント(路線編)

つづいて路線編である.現行法の全文そのものはこちら

現行法では,「新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第一条の目的を達成しうるものとする。」となっており,「中核都市を有機的かつ効率的に連結」が目的だ.

「中核都市」って何だ? という話があり,50年前から20−30万人程度以上の県庁所在地クラスの以上の都市と解釈されてきた.現在は「中枢中核都市」というくくりがあるようだが,大都市圏を除くとあんまり変わってないかなぁ.

一方,道路は何を結ぶように設定されるかというと,道路法第五条に国道について書かれており…(高速自動車国道法という法律もあるが,こちらは路線の決め方は下の「一」と類似の内容があるものの,それ以外はあまり具体的でない

一 国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地(北海道の支庁所在地を含む。)その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市(以下「重要都市」という。)を連絡する道路

二 重要都市又は人口十万以上の市と高速自動車国道又は前号に規定する国道とを連絡する道路

三 二以上の市を連絡して高速自動車国道又は第一号に規定する国道に達する道路

四 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第二項に規定する国際戦略港湾若しくは国際拠点港湾若しくは同法附則第二項に規定する港湾、重要な飛行場又は国際観光上重要な地と高速自動車国道又は第一号に規定する国道とを連絡する道路

五 国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市と高速自動車国道又は第一号に規定する国道とを連絡する道路

…一は全幹法の「中核都市」に相当する規定だが,二三四五に対応する規定が存在しない.「新幹線鉄道」から「幹線鉄道」全体に対象を広げるとすると,以下のような感じになるかな.それから,今のご時世,環境対応や非常時対応は組み込むべきかも.

第三条 この法律が対象とする鉄道路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであり,第一条の目的を達成しうるものとする。すなわち,次の各号の1つ以上に該当するものとする.

一 全国の中枢中核都市および大都市圏を有機的かつ効率的に連結する路線

二 人口十万人以上の都市を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

三 合計すると一定規模以上となる複数の都市を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

四 重要な港湾,重要な飛行場,その他重要な交通拠点を相互に連絡する路線,もしくはこれら拠点を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

五 国際観光上重要な地または国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

六 路線の整備により,他の交通機関を含めた地域間の移動に要するエネルギー消費や温暖化ガスの排出を効率的に削減可能な路線

七 路線の整備により,大災害発生時等における全国的な路線網の冗長性の向上に寄与する路線

こんな感じでしょうか? 一二三はまとめてもいいかも.

(づづく)